新卒の営業希望を大量採用してガンガンとって来いというやり方って・・・。

皆さんは、新卒でフレッシュで一所懸命な営業に塗装工事を提案されるのと、外装の事なら何でも知り尽くしている実務経験者(住まいのスーパードクター的な存在)だったらどちらが安心して任せられますか?

殆どの方は後者をお選びになるのではないでしょうか?
中には、寛大な方でフレッシュな一所懸命さが好きで新人を選ぶ方もいらっしゃるとは思いますが、多くの方は出来ればスーパードクターに診断してもらい、施工もしてもらいたいと感じるはずです。

ここで言う「住まいを知り尽くしたスーパードクター」というのは、決して一級建築士を指しているわけでもなく、一級塗装技能士を指しているわけでもありません。
はっきり言える事は、塗り替えというジャンルに特化した専門知識と施工技術を持ち合わせた者の事を指しています。当然、塗装関係の知識だけでなく、構造の知識も必要になります。
何故なら、ある構造とある建材が組み合わさった条件の住宅は、塗り替え後の不具合が頻発しているからです。
ちょうど、2000年ごろに建築された住宅はもっともその当時の基準でその当時に普及した建材で作られている住宅が多いため、発生件数も比例して多くなっています。

ですが、そんな情報を知っていて外壁塗装という商品を取り扱っている企業が一体どれほどいるのでしょうか。
僕が知る限り、一割に満たないと思います。
ある、協会がその事実に気づき、情報を集め出して、不具合の事例の一貫性に着目しなかったら僕も知る事が出来なかった様な水面下で動いている情報だという事です。
今では、ようやくその知識を持った公認の診断士も全国で1000人ほどになってきましたが、
ハウスメーカーなどが、自社で建てた物件の塗り替えを行った場合にも不具合が頻発している事を知ってしまうと、ハウスメーカーですらなぜ発生したのかわかっていない事が有ります。

この様に、塗替え業界は簡単ではない。
何故ならその他のリフォームと違って、壊して交換するのではなく今ある建材に密着させるという事が違いで、今ある建材や工法を熟知していないと選択できないから。
汎用的にすべてに対応できる塗料は存在しないからです。

故に、洋瓦専用シーラー、タイル用下塗り、金属用下塗り、サイディング用下塗りなど各部材ごとに下塗りが次々と商品化されていることからもお分かりかと思います。

だったらその建材に合った下塗りは容易に選択できるのでは?
とお思いかもしれませんが、サイディングがいい例ですが実は現在のサイディングには、通常のサイディング用下塗りでは密着しない物が年々増えているからです。
製造時に出来るだけ耐久性を持たせたサイディングパネルを販売しようとメーカーも必死なので、表面のコーティングの性能が高いサイディングが作られてきているからです。
表面のコーティング性能が高いと言う事は、汚れが付着しにくかったり、色褪せがしなかったりさまざまですが、汚れが付着しにくい=塗料も汚れと同じで付着しにくくなっています。
そこで日本ペイントが目を付けたのが難付着ボードに対する専用の下塗り塗料です。
名前は「ファインパーフェクトシーラー」です。
あらゆる難付着ボードに対応した(無機コートやフッ素、光触媒コートの上にも)少々高価な下塗り剤です。
一般的なサイディング用の下塗り塗料の5倍ほどの価格が設定されています。
※弊社は日本ペイントの認定施工店ですので色々な意味で優位ですが

ここからがタイトルの部分と関連してきます。

では、この難付着ボードかどうかはどうやって判断するのでしょうか?
2014年時点である機関の新築使用建材シェアデータによると、関東でこの難付着ボードの使用率は20%前後だと言われています。(建売住宅は除く)
年々増加傾向にあるようです。
外装用塗装工事に対する超専門的な知識がないと判断が出来ないのが現状です。
新築時の建築図面を確認すればわかりそうですが、建材仕様書に記載の商品名までは判別がついても製造番号まで記載された建築図面はほとんど見たことが御座いません。
商品名では判断が出来ないんです。
何故なら、この高機能コーティングは建材選択時にオプション設定な事が多く、商品名は同じでもオプションでこの特殊コーティングを施している場合が有るからです。
ですので製造番号からたどらないと判らない事になってしまいます。
更に、10年以上経過した建材は、現在廃版になっているものも多く、情報が残っていない事も有ります。
建てた建築会社が無くなっている場合も少なくないですよね?
よって、現場であらゆる機材を駆使して診断していくしか判別方法はないと言えます。
過去に外壁塗装や屋根塗装をご経験の方は体験しているのでご想像がつくかと思いますが、そこまで細かな診断報告を受けたことが有るでしょうか?

確かに一昔前は、サイディングの普及率もまだまだ少なく、付帯部(破風板)なども木材を使用していることがほとんどでした。ですのでそこまで大げさな診断方法は必要なかったかもしれませんが、近年の技術の進歩は目覚ましく、あらゆる機能性建材が普及しあらゆる対処方法を求められる様になりました。

こんな時代に、新卒を大量に採用し、どんどん外回りをさせ契約を取ってこいなどというやり方は、恐ろしくなります。たいした知識もないままに、資料作りや見積りだけは一人前で上塗り塗料の良さでどんどんお客様に勧めていく。確かに高品質な上塗り塗料の提案も大事だとは思いますが、その前に密着力適正は下地調整や下塗りの段階で決まる事をなんとなくないがしろにされている様に感じます。
というか知らないのかな?

弊社でも今年から新卒を一人採用させて頂きましたが、外回りは必ず日本ペイントのリウォール診断士資格者と同行で、毎日診断方法や判別方法を勉強しています。
そこをある一定レベルクリアできない限り、上塗りの種類やプランニングを教える段階には入れません。
つまり、お客様に提案もまだ出来ない状態と言う事です。
個人差によりますが、みっちり専門診断士と同行し続けても3ヶ月ではまだ診断方法は覚えきれないでしょう。
研修資料や診断方法の資料は覚えても、実際に不具合が発生しやすい住宅の診断に伺う確率は20%しかないからです。
その20%の中の住宅から、さらに個別の判別方法を選択していかないといけない事になります。

住宅塗装工事に限らず、防水工事やシーリング工事など「半製品」いわゆる現場で乾燥させて製品化するジャンルの改修工事は既存の含水率状態、乾燥状態、材質などのあらゆる状態に左右されてしまうので本当に簡単には覚えきれない業種だなと感じています。
まして、8割はそこまで気にする必要のない場合が多いので余計にです。
なのに常に何か見落としていないかと気になってしまいます。
僕の性格かも知れませんが。
『仕上り良ければ・・・』的な考え方ならもっと気楽に感じるのでしょうが、あまりに知ってしまうと気になってしまうものです。