「施工会社が最も大切にしなければならない」という技術力をベースに成長を続けている千葉県柏市の塗装会社・シャイン。
「お客様に刺さるポイント」の技術に納得度が高まれば、そのハロー効果で成約率が一気に高まるという。独自に積み上げてきたノウハウを他社にも提供し、成功者を輩出している住宅塗装分野の注目株だ。
同社の古住直輝社長は、二十歳のときに地元の塗装会社に職人として入った。それまで型枠大工や鳶、ガス配管工など建設系の仕事を経験してきたが、塗装職人が一番肌に合っていた。
当時、主に従事していたのは住宅の屋根や壁の塗り替え。「他のリフォーム工事と異なり、塗装はそれ自体で一つのジャンルとして成立しているのでシンプルで明快。例えば水まわりの工事なら設備や配管・大工など複数の職方が絡むのに対して、塗り替えは塗装職人だけで完結し、お客さんの反応も自分たちだけに直球で返ってくる。手ごたえをダイレクトに感じられる仕事」と、塗装の仕事にはまった。
肌に合った仕事だから頭角を現すのも早い。2年も経たないうちに親方に次ぐナンバー2として認められ、経営に携わるようになった。そしてその仕組みが分かりだすにつれ、「自分でも会社を経営できるのではないか」との思いが強まり独立を決意、20代前半の2000年7月に起業した。
独立はしたものの最初から恵まれた仕事にありつけるわけではない。「当時は孫請けのようなもらい仕事が中心。当然、単価も厳しかったけれど、発注先への義理を欠いてはいけないと単価以上の品質で納めていました。」と頑張っていた矢先、リーマンショックが襲ってきた。
いくつかの発注先で支払いが滞るようになり、「自分でキャッシングをして支払いに充てる」などギリギリまで踏ん張ったものの、結局、発注先が倒産して多額の貸し倒れが発生。
「(リーマンショックのような)外部要因に翻弄される下請け業態への限界」を強く感じ、元請化へのシフトを決意する。
そこからも他の発注先の下請けで経営を維持しながら、足場が立っている住宅の近隣にチラシを手まきするなど元請化への活動をスタート。
その中から「運よく声がかかり」、自社元請で初めて一軒の住宅を施工。さらにそこから4件の客先を紹介され、立て続けに仕事が発生。
「元請ってこういうこと?」と手ごたえのようなものをつかんだ。
「紹介というのは下手をすると自分の信用を落とすことになりますから100%では不十分で、それ以上の信頼をその業者に感じないとできないもの。下請け仕事の時には出せなかった本気の技術を提供できたことが信頼につながりました。」と振り返る。