シリーズ2回目 今回は外壁の種類についてです。
と言いましても、そろそろ塗替えかなぁ・・・とお考えなら「我が家の外壁が何なのか」はご存知でしょうから、
外壁の種類の違いでなぜ塗り替えが必要になるのか、今回はこれらの外壁材の主な特徴をお伝えしていきたいと思います。
外壁の種類は屋根の種類と比べて、新しい素材が豊富にでてきていますが、
主によく使用されているものや最近目立ってきたものは以下のようになります。
1.窯業系サイディング
2.金属系サイディング
3.木質系サイディング
4.樹脂系サイディング(塩化ビニル樹脂)
5.モルタル
6.ALC
7.GRC
8.タイル
1.窯業系サイディング
外壁の種類としては最も多く使われている外壁材となります。
セメントと繊維質や無機物を混ぜて窯で圧力をかけて板状に成形して製造します。意匠性に富んでおり、多種多様な模様を施すことが可能となっています。表面には塗装を施しており、サイディング成形時に工場で塗装を施すライン塗装が主流です(現場で塗装をする場合もあり)。
最近では耐久性の高い塗料で施工をするケースも増えているようですが一般的には10年程度の耐久性のものが多いようです
。
地震や火災に強い、遮音性に優れている、デザインが豊富、価格帯が幅広く、安く施工が可能などの理由で広く普及しており、コストパフォーマンスは良いと言えますが、サイディングボード自体には防水性が無いので、表面を塗装する必要があります。
塗膜が劣化して雨水の侵入を許してしまうと、内部で凍結・膨張し、反りや変形、割れを引き起こします。
またサイディングの場合は目地が必ずあり、通常コーキングがヒビ割れなどを起こしますのでメンテナンスが必要となります。
2.金属系サイディング
アルミ、亜鉛、シリコンに断熱材を補強して成形したガルバリウム鋼板や鉄やアルミニウムなどの金属板材に断熱材を補強材として成形された外壁材です。非常に軽く(窯業系の約1/5)施工性が良いのと、金額も窯業系サイディングに比べて2割程度安いです。厚みや仕上げの塗装レベルによって価格が変化します。厚みは14ミリと15ミリ以上に分けられます。14ミリは簡単に施工できるので比較的安価ですが、15ミリ以上の方が厚みがあるため、価格は上がりますが耐震性やデザイン性が高くなります。レンガ調や石積み調などのデザインも出てきており、人気も高まってきています。
硬質プラスチックフォームという断熱材が入っているため、断熱性と耐凍害性も金属サイディングの特徴で、外壁材の中でトップレベルの断熱性を持つため、寒い地域に向いているといえます。硬質プラスチックフォームで裏打ちされているため、遮音性も優れています。
軽量で既存の外壁の上から貼っても建物の重量を抑えることができるので、リフォームの際に数多く使用されています。
デメリットとしては傷がつきやすいことや激しい温度変化により変形してしまうことがあります。表面にはさびないように塗料が塗られていますが、やはりサビには弱いです。塩害が多い地域には不向きです。
3.木質系サイディング
木質系サイディングは、天然の木に塗装をして仕上げたサイディングです。そのため、本物の木にしか出ない温かみがあり、さまざまな木種があり、横張りタイプ、縦張りタイプがあり、木目がデザインになるため全く同じデザインになることがありません。また、断熱性に優れ環境にも優しい建材です。
デメリットとして、木なので水分に弱く、水が貯まったまま乾燥しない日が続くと腐りやすくなります。塗料である程度防腐性をカバーができますので、小まめなメンテナンスが必要です。耐久性に優れたものもありますが、木材の種類によっては塗替えのほかにメンテナンスに手間がかかる可能性があります。
木材のため防火地域では使用できない場合がありますので、そのような地域で使用する場合は不燃処理をされたものも開発されているので確認が必要です。
窯業系サイディングに比べ高額です。
4.樹脂系サイディング(塩化ビニル樹脂)
日本ではまだあまり馴染みが薄いサイディングですが、アメリカやカナダなどで主流の外壁材です。劣化しにくい材質で、塩害や凍害など耐候性にも優れています。一番の特徴は、外壁材そのものに顔料が練りこまれており、色がはげるといった心配がありません。さらに、シーリングがいらない施工のため、塗替えやシーリングの交換など目地の補修のメンテナンスがほとんど不要といえます。窯業系サイディングの1/10以下の重さなので、今ある壁の上から取り付けることも可能です。
さびたり腐食したりする心配がありません。特に、塩化ビニルは超寿命で燃えにくいという特徴を持ちます。
顔料を練りこんでいるために淡い色が安く、暗めの色が高くなります。
デメリットは、見た目が少し安っぽい点、カラーバリエーションが少ない点、遮音性が低い点です。
5.モルタル
モルタルはセメントに砂を混ぜた材料に水を加え、練り合せた建築材料です。以前は最も多くの家で使用されていた外壁の種類ですが、現在ではサイディング様式が主流となっています。ラス(網の針金)等の上からモルタル(水・砂・セメントを混ぜたもの)を左官コテで塗り付けて、その後、塗装して仕上げます。モルタル壁は、1980年代までの日本の一般住宅の外壁に多く使われ、築25年以上の一般建築物によく見られます。
パネル形式のサイディングと違い、モルタル外壁はつなぎ目がありませんのでシーリングの劣化を気にする必要はありません。家の周囲を一枚岩で取り囲むように施工されるため、大きな地震があっても倒壊しにくいのです。
モルタル外壁の原料は、セメント、砂、水と全て不燃性ですし、炎熱にさらされても有毒ガスを発生しません。
台風や竜巻によって巻き上げられた飛散物がぶつかっても、容易に破損しない強靭さもモルタル外壁のメリットです。
吹付タイル、吹付リシン、吹付スタッコ、ジョリパットやエベルアート等に代表される土壁調の左官仕上げには、コテ仕上げ・櫛目引き仕上げ等、様々な種類があります。ハンドメイドな風合いが特徴の仕上げ形状や、モルタル向けの色付き塗料もあります。自分の好みのデザインで作り上げることが可能になります。
モルタル自体にも防水性がないため塗装による防水機能を持たせる必要があります。デメリットとしては、基本的にヒビが入る外壁材ですので、ヒビ割れなどの劣化や汚れが目立ちやすいです。大きなヒビ(1mm以上)になって放っておくと漏水の可能性が出やすい素材でもあります。白華現象といって、白い結晶(水酸化ナトリウム)が出てくる場合があります。
スタッコ・土壁調仕上げ等は、仕上げ模様により、塗り替え時の塗料の使用量が異なることも注意する点です。
6.ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)
ALCの主成分は、珪石、セメント、生石灰、石膏、アルミニウム粉末などです。
高温高圧多湿の処理を施された「軽量気泡コンクリート」で作ったパネルのことを英語の頭文字からALCパネルと言います。
Autoclaved
Lightweight aerated
Concreteの頭文字を取っています。空気が内部に混合された軽量のコンクリートになります。外壁材で最も厚みがある(100~150mm)ために断熱性に大変優れています。耐火性や耐震性にも優れています。
反面、小さな気泡がたくさんあるということは、スポンジのようなものです。内部に水が侵入してしまうと、ヒビや欠けの原因となってしまいます。防水性や表面強度が弱いこと、吸水性が高いことがデメリットとなります。
内部に空気・湿気があるので外部を塗装で覆ってしまうと空気・湿気の逃げ道が制限されてしまいます。逃げようとする空気が塗膜を押し上げ膨れの原因になりやすい素材であるため、特に弾性力の高い塗料よりも通湿性の高い塗料で施工を行う必要があり、塗り替える際は特に注意が必要です。
7.GRC(Glassfiber Reinforced Cement)
GRCは、セメント又はセメントモルタルを耐アルカリガラス繊維で補強した複合材料です。
ビルの内外装をはじめ、住宅、土木環境分野に多彩に活用されています。
1970年代に英国から耐アルカリ性ガラスの生産技術とGRCの製造技術を導入後、日本の気候に合うように改良されています。
曲げ強度が大きいので、造形性やスタイルに合わせた造形が可能で意匠性の高い材料です。 また非常に薄くすることができるので大幅な軽量化が可能です。
鉄筋を使用しないため塩害や凍害にも強い高耐久(強靭)性、無機材料を使用しているため不燃性といったメリットがありますが、一般家庭にとってはまだまだメジャーではなく、価格も非常に高いです。
8.タイル
タイルは日本瓦と同じく粘土、陶土、長石、石英などを砕き、成形して高温で焼きます。吸水率により、陶器質、磁器質、せっ器質の3種類に分かれますが、外壁で使うのは吸水率の低い磁器質とせっ器質です。
モルタルに張り付ける湿式タイプと引っかける乾式タイプがありますが、最近は劣化によるタイル落下の不安が無い事から乾式タイルが多いようです。耐水、耐火、耐候、などの優れた性能があり、デザインやカラーのバリエーションも豊富です。最大の特徴は重厚感と高級感があり美しいということでしょう。
基本的にメンテナンスフリーで且つ高級感がある反面、非常に高価です。
重量がかさむと建物の負担となり耐震性が劣ってしまいます。使う素材や施工が悪いと「浮き」や「剥がれ」を生じ剥離・落下が起きることがあることと、雨水侵入などによって下地が劣化するなど下地材の劣化が分かりにいことが注意する点です。