アスファルト防水を塩ビシート防水へ改修(機械固定工法)
約12年前に施工したアスファルト防水のお悩みでお問い合わせいただきました。
草加市内に建つマンションのオーナー様から雨漏りでお困りというお問い合わせいただきました。
マンションは約12年前に屋上のアスファルト防水を施工しており、5年前には屋上と外壁の補修も行ったが最近雨漏りしだした、とのことでした。
現地調査をしたところ、平場(床面)のアスファルト防水部分に補修跡が見られましたが、既に口が空き雨水が入り込んでしまう状態でした。
また、アスファルト防水は仕上げにトップコートを塗装されておりますが、剥がれも著しく発生しておりました。
弊社からはアスファルト防水・塩ビシート防水の2パターンをご提案させていただき、オーナー様とじっくり話し合った結果、塩ビシート防水(機械固定工法)を採用していただきました。
既存のアスファルト防水層が酷い状態でしたが、塩ビシート防水なら下地が多少傷んだままでも下処理が割と簡単で済みますし、耐久性も高いものになります。
下地と防水層の間に空気層を作り、脱気筒を設けることで膨れの心配もありません。
(膨れるとそこから劣化しますので防水工事に膨れは大敵です。)
屋上防水の改修工事ですが、パラペット部分の防水工事や外壁タイルのシーリング工事も必要なため足場を仮設しました。
15Mpaの高圧で洗浄を行います。
防水工事は対象部分の不純除去が耐久性に大きく関与するので、入念に行います。
立上り部(パラペット)部のクラックに対しては、エポキシ樹脂を注入します。
簡易的なシーリング補修でごまかしてしまうと、クラックの再発やコンクリートの剥落の原因になります。
クラックが多く発生していた場合は画像の様に多数の注入作業が必要になります。
樹脂モルタルで下地調整
下塗り
ウレタン主剤を2回塗布
十分な膜厚を作ることが重要
立ち上がりのコーナー(入隅)部分は補強処理をします。
専用のシートを貼りつける事で下地が頑丈になり、長持ちに繋がります。
防水工事では基本的な工程なのですが、中には省略する業者もいるようです。
入隅部は数年後にクラックなどが発生しやすい部分ですので、きちんと写真を残してくれる業者を選ぶことも屋上防水工事成功のポイントです。
最後にトップコートを塗布し、ウレタン防水は完成となります。
今回平場は塩ビシート防水をご採用いただきました。
まずは絶縁シートを敷き詰め、既存床との縁を切ります。
平場に穴を空け、固定ディスクの取り付けを行います。
防水工事では様々な規定がありますが、ディスク間隔にももちろん規定があります。
しっかり既定の間隔を守りディスクを設置する事が重要です。
(ディスク間隔を広げてコストカットする業者もいるようですので、施工写真を撮ってくれることも業者選定のポイントになるかと思います。)
入隅部には専用の塩ビ鋼板を取り付け、将来的なシートのたわみを防止します。
漏水の原因で非常に多いのが、排水ドレン廻りの劣化や施工の処理不足です。
改修用ドレンを正しく設置する事は、長期的な防水メンテナンスの重要ポイントです。
ここまできてようやく塩ビシートの登場です。塩ビシートをディスクに融着していきます。
平場シートジョイントの熱融着
入隅の端部の熱融着
立ち上がり部にシーリング充填
塩ビシートは、ただ敷くだけでは重なり部分から水が入ってしまいますので、塩ビシート同士を熱で融着(溶かして接着)させます。
この工程でシート同士が一体化して剥がれなくなります。
脱気筒(だっきとう)と呼ばれる、空気を逃がしてくれる煙突のような役割のある部材を取り付けます。
これにより防水層下に溜まった空気が自然と抜けるようになり、膨れ防止になります。
設置位置が重要です。
それぞれの架台周りはウレタン密着防水と併用で施工しました。
弊社でもマンションやビルのオーナー様から様々なご依頼を頂きまが、現地調査では結構な割合で「前の業者に手抜きされてるな・・・」ということが見えてしまいます。
前回の防水工事で手を抜かれてしまうと早期に劣化がはじまる可能性が高く、次のメンテナンスでは劣化が激しい防水層を除去するのに費用がかかったり雨漏りが発生したりと、更にコストがかかってしまいます。
適切な工事を適切な価格で行う事が一番重要です。