前回のお話で、サイディングには大きく分けて金属サイディングと窯業サイディングがあるというお話はもうご理解されていると思いますが、その中でも新築で圧倒的な普及率である窯業サイディングについての話しになります。
サイディングは果たしてどんなものでも塗装すれば長持ちしてくれるのかについてです。
サイディングと言っても製造方法はメーカー各社様々で
・抄造(しょうぞう)法 … 和紙や海苔製法のイーメージ
・鋳込(いこみ)法 … 型にご飯を入れておにぎりを作るイメージ
・押出(おしだし)法 … トコロテン突きのイメージ
などがあり、各社それぞれ独自の工夫をこらして成形を行っています。
※日本窯業外装材協会より抜粋
この製造方法に差があって塗っても長くは持たないサイディングがあるというわけではないです。
最も多い塗装後の不具合については特徴的な症状があります。
『塗った塗膜が剥がれて来た・膨れて来た』です。
ではなぜ、ちゃんとしたメーカーの15年ぐらいは持つ塗料をちゃんとした工程で3回塗りをしてもらったのに1、2年で塗膜が剥がれたり膨れたりしてしまうのでしょうか?
※30年耐久と表示された様な塗料を含め耐候年数は全く関係しないところの原因。
それは、一つの大きな要因として、現在ちょうど塗り替え時期を迎えている事があります。
2000年の品確法が標準工法とされた以前に建築された住宅は、「直貼り工法」が多く採用されていました。
現在の住宅は「通気工法」とされていますので、2000年を堺に直貼りは徐々に減っていったという傾向です。
現在でも増築や部分工事ではさらっと直貼りされている現場も見掛けますが、築10年ぐらいの住宅に診断に伺った統計を見るとほぼ通気工法になっています。
つまり、2000年付近で建築された住宅でちょうど数年前に塗り替えをされた方の中には、現在剥がれや膨れでがっかりされている方が多いという事です。
剥がれるメカニズムとしては、ここでは深くは触れませんが、一言でいうと内部結露が原因です。
サイディングの裏側(つまり家側の面にちょっとした隙間から雨水が入ったり、結露によって水分が発生し、通気工法に比べて通気性が悪く乾燥できずにいつまでもじゅくじゅく湿った状態になります。
逃げ道のない水分(湿気分)は徐々にサイディングの表面に逃げていこうとしているのですが、そこで外壁の塗り替えを行うと表面に膜が出来るので、逃げ道の無くなった水分は塗膜を裏から押し上げて逃げようとする事が膨れや剥がれの原因になっています。
では、塗装業者は手抜きをしたのか?
結果的には構造を知らない塗装屋さんや営業担当者の責任なのですが、知らない担当者の方が圧倒的に多く、直貼りという言葉も知らずに通常の塗装を勧めた事にあり、けして悪気があったわけではないという結論が多かった様です。
最近ではようやく直貼りかどうかを最初の診断の段階で見るようになった塗装会社も増えてきた事、すでに直貼りの住宅自体がなくなってきたこともあり、そういった直貼りによる塗膜剥離は減って来ています。
※いまだに知らない業者も多いので安心はできませんが・・・。
直貼りには直貼りなりの方法があります。
それでもリスクの低減にはなりますが、100%の解決にはなりませんので気になる方はご相談頂ければと思います。
当然現地診断しないとはっきりとはお答えできませんし、場合によっては、サイディングを一部剥がして通気かどうかの確信が必要な時もあるので口頭で直貼りだ何だと言ってきたらまず疑ってください。
それで、外壁の張り替えを進めてくる業者が増えています。
直貼り以外でも、ある原因で塗装後の不具合が台頭しています。
近年ではまた違った事が原因で塗膜が割れた。や、剥がれたという現象がありますが、それは技術の進歩が仇になっている事が原因です。
それは何かと言いますと、いくつか代表的な例を挙げてみたいと思います。
1つは、高耐久なコーティングを最初から施されたサイディングが普及してきたという事です。
つまり、塗替えをしようとしているサイディングの表面が汚れも寄せ付けない、紫外線劣化もしにくいコーティング(無機コーティングや光触媒コーティング)が施されていると、一般的な良く進められる安価な下塗りが密着しない事が原因です。
これに関しては、塗装前の密着テストや専用の下塗りを使用すればほとんどの場合は解決可能です。
そこまでやらずに不具合を発生させたのなら、施工会社の責任だと思います。
2つ目は、高性能塗料が増えて来た、からです。塗料業界も成熟期を迎え、過当競争が激化している点です。
現在はどこの塗料メーカーも国内販売数が減少している傾向にあります。
そこで、少しでも売りたい為に様々な機能性塗料を開発してきました。
・断熱塗料
・海外で売れている塗料の日本版
・高耐久塗料
など常に新商品が世に誕生していますが、年々廃版になるような消えてなくなる塗料も同じように増えています。
それはただ売れなかったから廃版になっているわけではないんです。
10年ぐらいロングセラーだった塗料でも今年になって販売を中止しました。
光触媒で有名な塗料です。
多くはここでは語りませんが、過剰に効果を謳った会社が多い事、最近改良したバージョンで1年以内に不具合が続出したことが原因でしょう。
塗料メーカーは自己負担で取り扱っていた塗装会社に塗り直しをしてもらったようですが、現在すべての補修が終わっているかはわかりません。
塗装会社もいいと思って使っていた塗料がそんな欠陥だったら、例え塗り直しの費用はメーカーが負担したとしても、そんな塗料を勧められたお客様からしたら目利きの出来ない塗装会社の烙印を押されるのと同じですからね。
しかし塗装会社はメーカーのブランドや性能を信じてお客様に進めていたわけですから、許せませんね。
業界に専門的にかかわっていると、そんな情報が次から次へと入ってくるので、恐ろしくて安易に新製品は使えません。
シャインでは、新し過ぎる塗料や建材は使いません。新製品はで良さそうなものは数年の経過は見てから決めたり、サンプルをもらって、あらゆる建材に対する密着試験、暴露試験を行ってから採用したりしています。
30年耐久を謳う建材などは、実際にせめて20年経過した実績を見せてもらったりもします。
それが出せない様なら採用を見送る事も少なくありません。
<<まとめ>>
このように、サイディングは3回塗りで塗装すれば大丈夫か!?
の結論として、答えはダメです。
表面上でやデザインでは判断が付かないものも多いので、確実な診断が出来る業者に頼むしかない
という結論になります。
次回も中身の濃~い内容になると思いますので、暇な方は読んでみてください。
書いていると思ったまま書くので、文脈はあまり気にしてません。(^^;)
次回以降で取り上げる内容
3:チラシに外壁塗装○○万円て書いてあったけど?塗装価格はいくらぐらいが適正?
4:柄を活かしてクリアー塗装にしたいんだけど?
5:クリアー塗装が出来ないなら単純な一色になっちゃうの?
千葉県柏市を中心に、茨城県は土浦付近まで、埼玉県は草加市付近まで、東京都は墨田区付近まで、千葉県は千葉市付近まで、ご用命があれば出来る限りお役に立てればと思います。
外壁塗装や屋根の葺き替えなら外装専門のシャインまで