その中の、10件に1件ぐらいの会社の社長さんが、僕の若さゆえの期待と熱意に興味を持って下さり、「試しに1件やってみるか?」とお声かけ頂きました。
その時は飛び上るほどうれしかったことを覚えています。
次第に人脈も出来て、縁あって大手リフォーム会社や積水ハウス、ダイワハウスの二次下請けとして仕事を頂けるようになり、人の繋がりで、職人も増え一時は8人の職人たちと大忙しの日々が続きました。
傍から見れば順風満帆の滑り出しにも見えますが、実際の経営状態は火の車。
リフォーム産業界も成長期から成熟期を迎える頃で、単価は下がる一方で、ひどいときは戸建て一件50万円でやってくれと言われたことも少なくありませんでした。
足場代、塗料代、手間すべて含んでです。
(大手の場合、お客様からの受注額は150万円以上がほとんど)
周りの塗装屋仲間は、平気で外壁や屋根を1回塗りで終わらせたり、洗浄しなかったり、いわゆる手抜きをして予算を調整していたみたいですが、みんな食べていくためにはそれしかなかったのかもしれません。
外部の人などは、そんな仕事なんか請けなけれないいのに、という意見も多々有りましたが、食べていくためにはみんな必死で安くても受けずにはいかない、そんな状況だったのです。
そんな中で柔軟に対応できなかった僕の会社は、昔の親方の教えである「基本の塗装作業」の工程を省いてまで儲けを出す事が許せず、まして住んでるお客様がいい人なのに嘘をついてまで「しっかり3回塗りましたよ」なんて絶対に言いたくありませんでした。
従業員の職人たちにも拘りを持った仕事をさせたかったので、それだけは厳しく言い聞かせていました。
自転車操業に近い状態が3年ほど続き、仕事の幅を広げたい思いで何とか個人事業主から法人を設立しました。
それが現在の有限会社シャインの始まりでした。
(今は有限会社は廃止されたので、誰でも立上げられる株式会社よりもそのまま有限会社を残しています)