「A社には屋根塗装を、B社にはカバー工法を勧められた。どちらが正しいの?」。松戸市で屋根のメンテナンスを考え始めた方から、よくいただくご相談です。見積書の金額も工事の中身も違うので、迷ってしまうのは当然のことです。
先に結論をお伝えします。
- 割れが少なく、塗装できる屋根材であれば、屋根塗装で十分に長持ちさせられます。
- 塗っても剥がれてしまう屋根材や、割れが多い屋根は、カバー工法をおすすめします。
- 雨漏りで下地が傷んでいる屋根や、すでに一度カバー工法をしている屋根は、葺き替えを考えます。
どれが合うかは、屋根に上がって屋根材の種類と傷み方を見て初めて判断できます。この記事では、松戸市で実際に対応した屋根を例に、塗装とカバー工法の分かれ目、カバー工法ができない屋根、よくある失敗例、2026年の建材値上げの影響までお伝えします。
屋根はカバー工法と塗装、どちらがいい?

| 工事 | こんな屋根に合います |
|---|---|
| 屋根塗装が合う屋根 | ・割れや欠けが少ない ・塗装できる屋根材(アスベストを含む古いスレート、改良後のノンアスベストスレートなど) ・前回の塗装が剥がれていない |
| カバー工法が合う屋根 | ・塗っても剥がれる屋根材(パミールなど) ・割れが多いノンアスベストスレート ・前回の塗装が大きく剥がれている |
| 葺き替えが合う屋根 | ・雨漏りで下地の木材が傷んでいる ・すでに一度カバー工法をしている ・屋根の重さを増やしたくない |
表は左右に動かしてお読みいただけます。
カバー工法は、今の屋根の上に防水紙(ルーフィング)を敷き、軽い金属屋根を重ねる工事です。古い屋根材を撤去しないので、葺き替えより工期と撤去費用を抑えられます。
一方で、塗装できる屋根なら、屋根塗装のほうが費用を抑えられます。松戸市M様邸(築25年)の屋根は、アスベストを含む強度の高いスレートで、塗装でも問題のない状態でした。診断では塗装もできる状態だったことをお伝えしたうえで、今後のメンテナンス費用を抑えたいというM様のご希望でカバー工法にしています。
塗っても長持ちしない「塗れない屋根」

屋根塗装は、屋根材そのものが丈夫であることが前提です。屋根材が中から傷んでいると、どんなに良い塗料を塗っても、塗膜ごと剥がれたり割れたりしてしまいます。次の屋根には、塗装以外の方法をご提案しています。
ニチハの「パミール」
薄い層を何枚も重ねて固めた屋根材で、年数がたつとミルフィーユのように層がめくれてきます(層間剥離)。表面に塗装しても、一番上の層ごと剥がれてしまうため、カバー工法か葺き替えで直します。
松戸市T様邸(築16年)の屋根もパミールでした。ご近所で工事をしていた業者さんから屋根の不具合を指摘されたことがきっかけで、ディプロマットスターでカバー工法を行っています。
パミールは、遠くから見ると傷みの少ない屋根に見えることがあります。見分けるには、屋根に上がって端の部分を見ます。パミールと気付かずに塗装してしまう業者さんも、実際にいらっしゃいます。築13年のパミールの屋根に他社で塗装をして、2年で塗膜と一緒に表面がめくれてしまった屋根も見てきました。
初期のノンアスベストスレート(2001年〜2008年頃)
2000年頃までのスレート屋根材は、アスベストを混ぜて強度を高めていました。アスベストが使えなくなった直後のノンアスベストスレート(主にコロニアルNEO)は脆く、歩くとパキパキ割れてしまうほどのものもあります。割れを補修して塗装しても、別の場所から次々と割れてくるため、カバー工法をおすすめしています。
松戸市六実のT様邸(築11年)は、まさにこの屋根でした。複数の会社から見積もりを取られていましたが、屋根に上がって点検したのはシャインだけだったそうです。他社は塗装の提案でしたが、屋根材には無数の割れがあり、カバー工法をご提案しました。T様は診断報告書をご覧になったうえで、ご自身でも調べられ、約4か月かけてじっくり検討されてからカバー工法を選ばれています。
前回の塗装が大きく剥がれている屋根
古い塗膜を完全に取り除いてから塗り直すのは、現実的に難しい作業です。剥がれた塗膜の上から塗っても、数年で再び剥がれてくることがあります。
塗装できるスレートもたくさんあります
アスベストを含む古いスレート(ニューコロニアルなど)や、2008年頃から主流になった改良後のノンアスベストスレート(コロニアルクァッドなど)は、割れが少なければ塗装で長持ちさせられます。「ノンアスベスト=塗れない」と一括りにせず、屋根材の種類と傷み方を見て判断しています。
新築時の仕様書に書かれた屋根材と、実際に乗っている屋根材が違うことがあります。特に2008年前後に建てられたお住まいは、書類だけで判断すると、塗れない屋根に塗装してしまうおそれがあります。
また、屋根塗装の保証が「塗膜の保証」の場合、屋根材そのものの割れは保証の対象外です。「保証が付くから安心」と考えて塗れない屋根に塗装すると、割れても保証で直せないことになります。見積もりの段階で、保証の対象が塗膜なのか屋根材なのかを必ず確かめてください。
カバー工法ができない・おすすめしない屋根

すでに一度カバー工法をしている屋根
松戸市O様邸では、アスベストを含むスレートの上に「セキスイかわらU」という屋根材がカバー工法で重ねられていました。かわらUは2013年頃に販売が終わった屋根材で、劣化が進んでいました。屋根材が三重になるのを避けるため、かわらUを撤去してから防水紙を敷き直し、ディプロマットスターでカバー工法を行っています。葺き替えとカバー工法を組み合わせた工事です。
雨漏りで下地の木材が傷んでいる屋根
カバー工法は、今の屋根の下地を土台にして新しい屋根を固定します。雨漏りで下地の木材が腐っていると、新しい屋根を固定する下地が弱くなっています。この場合は古い屋根材を撤去し、下地の木材から交換する葺き替えを行います。
屋根の重さを増やしたくない場合
金属屋根は軽く、アイジー工業のスーパーガルテクトはメーカー公表で1㎡あたり5.0kg、スレート屋根の約4分の1の重さです。それでも、カバー工法では今の屋根の上に重ねる分だけ重さが増えます。
松戸市K様邸(築25年・屋根面積232㎡)は、新築時に一度雨漏りがあり、スレートの割れも多く、下地の防水紙の状態にも不安がありました。重さが増えることも気にされていたため、スレートを撤去してガルテクトに葺き替えています。
瓦屋根
日本瓦の屋根は、カバー工法ではなく、瓦のズレの結び直しや部分的な固定、棟の崩れの積み直し、全体が傷んでいれば葺き替えで対応しています。
屋根カバー工法のよくある失敗例

カバー工法は、屋根の上に新しい屋根をかぶせてしまうので、完成すると中の施工が見えなくなります。だからこそ、見えなくなる部分の施工に業者さんの差が出ます。
防水紙(ルーフィング)を安いもので済ませる
屋根の雨漏りを最後に止めているのは、屋根材の下に敷く防水紙です。屋根材のすき間から入った雨水は、この防水紙が受け止めます。弊社では、一般的な規格品より耐久性の高い、全面粘着式の防水紙(アンダーガムロンK)を使っています。見積書に防水紙の商品名が書かれているかを見てください。
屋根に上がらずに見積もる
六実のT様邸のように、屋根に上がらずに塗装の見積もりを出す業者さんもいます。屋根材の割れや層間剥離は、屋根に上がって初めて分かります。屋根に上がれない場合も、高所カメラで細部まで撮影して、写真と一緒にご説明しています。
棟板金の釘・ビスの処理を省く
屋根の頂上を覆う棟板金は、釘やビスで固定しています。年数がたつと釘が浮いたり抜けたりして、そこから雨水が入ります。弊社では釘頭・ビス頭やジョイント部分にシーリングを盛り、抜けと雨水の侵入を抑えています。
トップライト(天窓)・谷・壁際の納めが甘い
屋根と壁がぶつかる部分や、天窓のまわり、屋根面が合わさる谷の部分は、雨漏りが起きやすい場所です。専用の部材と板金で納め、シーリングで防水します。この部分の施工内容も、見積書や工程写真で確かめてください。
雪止めを付けない
金属屋根はスレートより表面が滑りやすく、雪が一気に落ちることがあります。お隣との距離が近い住宅地では、雪止めを付けてご近所への落雪を防いでいます。
2026年の建材値上げと、費用の考え方

2026年5月1日の納品分から、主要メーカーの屋根カバー建材が、現行価格から40〜50%値上げされるとの通達がありました。対象は金属屋根材だけでなく、防水紙を含む関連部材のほぼすべてです。これまで100万円でできたカバー工事が、140万〜150万円近くになる計算です。メーカーは、情勢が長引けば再度の値上げも検討するとしています。
だからこそ、費用は「今いくらか」だけでなく「次の工事までを含めていくらか」で考えてください。塗れない屋根に塗装をすると、数年で剥がれてカバー工法をやり直すことになり、塗装代が丸ごと無駄になってしまいます。反対に、塗装できる屋根なら、屋根塗装で十分です。
葺き替えでは古い屋根材を撤去・処分するため、カバー工法より費用と工期がかかります。アスベストを含む屋根材を撤去する場合は、飛散を防ぐ対策をとりながら撤去・処分するため、その分の手間も加わります。なお、屋根の改修工事では、工法にかかわらずアスベストの有無の事前調査が法律で義務付けられており、請負代金が100万円以上(税込)の工事は調査結果の報告も必要です。こうした手間も含めて、塗装・カバー工法・葺き替えのそれぞれでお見積りをお出しし、細かくご説明いたします。
屋根診断で確かめること

パミール、初期のノンアスベストスレート、アスベストを含むスレートなど、屋根材の種類を見分けます。
屋根に上がって、割れの数と場所、端部の層のめくれを確かめます。
棟板金の浮き、釘の抜け、中の木材の傷みを見ます。
天井や屋根裏の雨染み、踏んだときの下地のたわみを確かめ、カバー工法ができるかを判断します。
屋根の上の様子は、20倍ズームの高所カメラや写真でお見せしながら、お家の前で一緒にご説明します。
松戸市の施工事例
4枚の事例は左右に送ってご覧いただけます。
よくあるご質問
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メーカー情報・公的資料の確認日:2026年10月17日。
この記事の監修・執筆
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古住 直輝(株式会社シャイン 代表 / リウォール診断士 監修)
屋根は、屋根材の種類と傷み方によって、塗装・カバー工法・葺き替えのどれが合うかが変わります。松戸市でも、塗れないパミールや割れの多いノンアスベストスレートに塗装の見積もりが出ていた屋根を数多く見てきました。屋根に上がって確かめた事実をもとに、次の工事までを見すえた方法をご提案しています。
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