「近くで工事をしているので無料で点検します」と訪問業者に声をかけられた。築10年を過ぎて、塗り替えの時期なのか知りたい。松戸市のお住まいから、こうしたきっかけで外壁診断のご依頼をいただきます。
外壁診断では、目で見た色あせに加えて、道具で建物の状態を測ります。打診棒で叩いて塗膜の浮きを音で聞き分け、含水率計で壁の水分を測り、赤外線カメラで壁の中に回った水を温度の違いで探し、30倍スコープで塗膜の表面を拡大します。
この記事では、現地で使う道具ごとに何を調べるのか、松戸市の現場で道具を使って実際に見つかった劣化、診断書と見積書のつながりをお伝えします。
訪問業者の「無料点検」と外壁診断の違い

松戸市は、点検を口実に近づいて不安をあおり、その場で契約をせかす「点検商法」について、市のホームページで注意を呼びかけています。屋根の映像を見せて「このままでは雨漏りする」「今日でないと契約できない」と迫る相談事例も載っています。
写真と測定値が手元に残る点検なら、あとから別の専門家に見せて内容を確かめられます。口頭説明だけの点検は、その確かめ方が取れなくなります。
外壁診断では、調べた箇所ごとに写真と測定値を残し、診断書にまとめてお渡ししています。補修が要る箇所と、まだ塗り替えなくてよい箇所の両方を書面に載せるので、他社の見積書と並べたときも同じ箇所どうしで比べられます。
| 比べる点 | その場の点検 | 外壁診断 |
|---|---|---|
| 調べ方 | 目視と口頭説明 | 打診・含水率・赤外線・スコープなどの道具で測定 |
| 手元に残るもの | 口頭の説明だけ | 写真と測定値の入った診断書 |
| 結果の伝え方 | その場で契約を勧める | 診断書と見積書で、補修範囲と数量を説明 |
表は左右に動かしてお読みいただけます。
業者を比べるときに確かめたい7つの項目は、「業者選びに失敗しない7つのポイント」でお伝えしています。
現地診断で使う道具と、それぞれで分かること

外壁診断では、目で見る、手で触るに加えて、次の道具で建物を測ります。
打診棒:塗膜やタイルの浮きを音で聞き分ける
打診用のハンマーで外壁を軽く叩き、音の違いで塗膜の浮きやタイルの浮きを探します。浮いた塗膜の上から塗り重ねると、下の層ごと剥がれてきます。浮いている範囲は、下地補修の数量として拾います。
含水率測定:塗装してよい状態かを数値で確かめる
壁が水を含んだまま塗装すると、中の水分が蒸発しようとして新しい塗膜を押し上げ、膨れが起きます。水分の量は目で見ても分からないため、含水率計で数値を測り、そのまま塗装できるか、先に雨水の入口を止めるかを決めます。
ひび割れ調査:幅と深さで補修方法を決める
ひび割れの幅、深さ、走り方を測り、塗膜の表面だけの割れか、外壁材まで達した割れかを見分けます。モルタル外壁の深い割れは、専用の工具でV字にカットしてから補修材を詰めます。
30倍スコープ:肉眼で見えない塗膜の傷みを拡大する
塗膜表面の細かな割れや、チョーキング(触ると白い粉が付く症状)の進み具合を拡大して見ます。
赤外線調査:壁の中に回った水を温度の違いで探す
赤外線カメラで外壁の表面温度を写すと、水を含んだ部分が周りと違う温度で写ります。外壁を壊さずに、壁の中へ水が回っている範囲の見当をつけます。
シーリング調査:目地の割れと剥がれを確かめる
サイディングの目地や窓まわりのシーリング(すき間を埋めるゴム状の材料)に、ひび、やせ、外壁材との剥がれがないかを確かめます。外壁材から剥がれている目地は、上から足す「増し打ち」では長くもたないため、古い材料を撤去する「打ち替え」で見積もります。
温度測定:遮熱塗装の効果が残っているかを測る
以前に遮熱塗料を塗った屋根や外壁は、表面温度を測り、温度差から効果が残っているかを確かめます。
実測・高所カメラ・ビデオ:面積を測り、上がれない屋根も見る
塗装する面の面積は現地で実測し、見積書の数量に使います。屋根に上がれない箇所は高所カメラで確かめます。屋根の割れや表面の傷みは20倍ズームの高所カメラかビデオで撮影し、その場で映像をご覧いただけます。後日ご覧いただく形をご希望の場合は、調査前にお申し付けください。
松戸市の現場で、道具を使って見つけた劣化

次の4つは、松戸市で対応した現場で見つかった劣化です。どれも、離れた場所から眺めただけでは小さなひびや汚れにしか見えない症状でした。
直貼りサイディングの凍害(K様邸・築18年)
前回の塗り替えでは、直貼りサイディングに合わない塗装仕様が組まれ、目地のシーリングも打ち替えずに増し打ちで済まされていました。サイディングとシーリングの間で剥がれが起き、そこから吸った水と壁の中の結露が冬に凍って膨らむことを繰り返し、サイディングを脆くしていました(凍害)。
外壁の角は一見すると小さなひび割れでしたが、サイディングの奥まで水が回り、中の木材が腐っていました。傷んだコーナー材は交換し、壁の中の湿気を外へ逃がせる透湿性の高い塗料で塗り替えています。
直貼りサイディングは、外壁材と柱の間に空気の通り道がない張り方です。ここへ湿気を通しにくい塗料を厚く塗ると、塗り替えたことで壁の中の水蒸気の逃げ場がなくなり、凍害を早めます。外壁材の張り方まで調べずに塗料を決めると、塗り替えそのものが劣化の原因になります。
モルタル外壁の塗膜の膨れ(K様邸・前回塗装から10年)
モルタル外壁に、ひび割れと塗膜の膨れが出ていました。膨れ方から前回は弾性塗料が使われていたと判断し、膨れた部分を削り取って補修したうえで、膨れが再発しにくい艶消しのパーフェクトトップで仕上げています。ひび割れはV字にカットし、プライマーを塗ってから補修しています。
難付着サイディング(Y様邸・築14年)
築14年でもチョーキングが出ていない外壁は、表面に光触媒や無機のコートが施された「難付着ボード」の場合があります。一般的な下塗り材では一度は付いても、塗装後数年でボロボロと剥がれてきます。
この現場では難付着ボード専用の下塗り材でテスト塗装を行い、テープを貼って剥がす付着テストで塗膜が剥がれないことを確かめてから、クリヤー塗装で仕上げました。
チョーキングがない外壁を「まだきれい」と判断して普通の下塗りで塗ると、数年後の剥がれにつながります。傷みが少なく見える外壁ほど、テスト塗装で確かめる工程を入れています。
棟板金の釘抜けと屋根内部の点検(M様邸・築30年)
屋根の頂上を覆う棟板金(むねばんきん)の釘が抜けており、内部に水が入っている恐れがありました。板金を開けて中の木材を点検したところ、この現場では腐食はありませんでした。抜けた釘はすべてビスに替え、ビスの頭もシーリングで覆っています。
同じお宅の瓦棒屋根は、雨どい交換の際にお客様から木部の腐食を心配するお声をいただき、屋根を開けて点検しました。こちらは木部が腐っていたため、傷んだ木部を交換してから元に戻しています。
釘の浮きは外から撮った写真でも分かりますが、板金の中の木材が腐っているかどうかは、開けて点検して初めて分かります。
雨漏りがある家は、塗装の前に止水を確かめる

「塗装すれば雨漏りも止まる」と言われて塗り替えたのに、今も雨漏りが続いている、というご相談をいただきます。外壁や屋根の塗装は表面を守る工事で、雨水の入口をふさぐには、入口を特定して補修する工事が別に要ります。
雨漏りが確認された現場では、塗装の契約より先に雨漏りの補修を行います。赤外線カメラで水が回っている範囲を探し、疑わしい箇所に水をかける散水試験で入口を特定します。補修後にもう一度散水して雨漏りが止まったことを確かめてから、塗装工事のお打ち合わせに進みます。
簡易補修で雨漏りの原因を特定できなかった場合は、別の経路を検討しますが、はっきりと特定できない場合は、もし完全に止めることができない可能性があったとしても有償になってしまうため、やってみるかどうかをお施主様と十分に話し合ってから方向性を決めさせて頂きます。雨漏りの特定率は95%の実績がありますが、複数回の調査が必要な場合もあります。
診断書と見積書は、同じ数字でつながっている

診断で測った数値は、そのまま見積書の数量になります。
- 実測した塗装面積 → 外壁・屋根の塗装面積(㎡)
- 打診で拾った浮きの範囲 → 下地補修の数量
- シーリングの状態 → 打ち替えか増し打ちか、目地の長さ(m)
- 含水率と赤外線の結果 → 先に雨水を止める工事を入れるか
- 外壁材の種類(直貼り、難付着ボードなど) → 下塗り材と上塗り塗料の選び方
診断結果は、外壁の前で一緒に見て、劣化箇所をご説明しながら、わかりやすくお伝えすることを心掛けております。
まだ塗り替えなくてよい外壁であれば、診断の結果としてそのままお伝えします。
見積書は、診断の数値と1行ずつ照らし合わせられる書き方かどうかを見て頂きます。「外壁一式」「補修一式」とだけ書かれた見積書は、照らし合わせる数字が載っていない書き方です。他社の見積書と比べるときは、塗装面積、補修の数量、シーリングの工法が書かれているかを見比べてください。見積書の内訳の読み方は、「松戸市で外壁塗装の費用相場と坪数別シミュレーション」で詳しくお伝えしています。
お問い合わせから診断書をお渡しするまで

お電話またはメールで、外壁と屋根の種類、気になっている症状、築年数をこちらからお伺いし、訪問日時を決めます。
外壁、屋根、シーリング、雨どいや破風板などの付帯部を、道具を使って調べます。
お家の前で、一緒に劣化箇所を見て頂きながらご説明します。
立地、日当たり、周辺環境に合わせて材料を選び、診断書と見積書を元に細かくご説明致します。
松戸市の施工事例
4枚の事例は左右に送ってご覧いただけます。
よくあるご質問
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この記事の監修・執筆
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古住 直輝(株式会社シャイン 代表 / リウォール診断士 監修)
外壁診断では、打診、含水率、赤外線、スコープの結果を写真と数値で診断書に残し、そのまま見積書の数量につなげています。松戸市の現場でも、直貼りサイディングの凍害や難付着ボードのように、離れて眺めただけでは分からない劣化を道具で確かめてから、補修方法と塗料を決めています。
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