ご質問くださった方は、詳しくお調べされていらっしゃるお施主様の様で専門知識がおありでした。このような専門的なご質問も幾通か届いております。
さっそく解説させていただきます。
まず、建物が窯業系サイディングの場合、目地は打替え、サッシ周りは増し打ちというのは多くで用いられている仕様です。ただし、打替えにも増し打ちにも言えることですが、長く持たせるためのやり方が重要になります。
【コーキングを長く保つためには】
・打替えの場合、既存のコーキングをしっかり撤去しているのか。
・サイディングとコーキングを密着させるための下塗り(プライマー)は塗布しているか、その塗布量は不足していないか。
・3面接着の場合は、撤去後に奥の面にボンドブレーカーというテープを張り、2面接着にしているか。
※既存が3面接着でも2面接着に治すことは可能です。
3面接着だと、コーキングが伸縮しきれないので早期破断や界面剥離の原因になってしまいます。
また、コーキングの種類は変性シリコンがいいとか、ウレタンの方が塗料の密着がいいとか、様々な意見がございますが、大事なのは使用するコーキングと塗料の相性です。
他には、ノンブリードタイプ(非汚染型)やLMタイプ(低モジュラス性)のコーキングなのかの選択も重要になってきます。
コーキングメーカーのカタログを見て頂ければ、サイディングに適した後塗装用のコーキングは何がいいのかの基本知識はお分かり頂けると思います。業者さんのお見積もりにコーキングの商品名は明記されているでしょうか?
されていないなら現場で使用しているコーキングをチェックしてインターネットで調べてみると良いかもしれません。正しいコーキングを使用していない様なら業者さんに言うべきです。
お打ち合わせの段階で使用塗料の話ばかりでなく使用コーキングの説明はなかったのでしょうか?
コーキングの一部に穴があるのはおかしいですね。
日数が経ってから打ち直しても問題ございませんが、表面だけ薄く埋める程度では持ちませんので奥までしっかりと充填してもらってください。
例えば、サッシ周りの増し打ちに関しましても、厚さが最低でも5ミリ、できれば7ミリ以上厚みを確保した三角シールという打ち方をしないと、厚さ不足による早期破断になってしまいます。
塗装工事は、使用している塗料は何かに目を奪われがちですが、サイディングの場合はコーキングの種類、施工方法も重要になります。業者の知識レベルや職人の技術レベルが高くないと、数年のうちに隙間が出来たりしてしまいます。
どんなに高級な材料を使用しても、最後は職人のレベルに頼るところになるので業者選びが難しい業界とも言われています。何を使うのかではなく、どう扱うのか これが肝心です。
弊社ではコーキング工事は地味ですが、建物の将来を大きく左右します。
せっかく10年以上の持ちを期待して塗装工事をされるわけですから、あきらめずに気になるところはご納得がいくまでお打ち合わせをされた方がいいと思いますよ。
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